盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)は、中国・アリババグループが展開する“新小売(ニューリテール)”モデルの代表的な存在です。従来のスーパーマーケットに 生鮮食品の販売、EC(ネット通販)、レストラン、そして30分以内の即時配送サービス を融合させた、まさに“未来型スーパー”と言える業態です。
店内ではスマホアプリを通じて商品の情報確認やキャッシュレス決済が行えるだけでなく、天井を走る配送レーンが注文商品を素早く運ぶなど、デジタル技術を活用したユニークな仕組みが随所に見られます。その場で調理してくれるレストラン機能もあり、買い物だけでなく“体験”として楽しめることも、多くの利用者を惹きつける理由となっています。
では、盒馬鮮生を特別な存在にしているのは一体どのような点なのでしょうか。この記事では、強みやユニークな特徴、日本のスーパーとの違い、実際のスマホでの操作を詳しく紹介していきます。
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盒馬鮮生の強み・ユニークな特徴
盒馬鮮生は、単なるスーパーマーケットの枠を超えた“体験型ストア”として知られています。その革新性は、買い物の仕方からサービスの仕組み、店内の空間演出まで、あらゆる部分に反映されています。ここでは、実際にアプリの操作、訪問して感じた3つの特徴について、詳しく紹介します。
スマホで完結する買い物体験 — 小売のデジタル化を象徴する仕組み
盒馬鮮生の店内に入ると、まず感じるのが“スマホを活用する買い物”の便利・快適さです。
商品に貼られたQRコードを読み取るだけで 産地・入荷日・重量 まで確認できるという便利さ。
たとえば「この魚はどの海域で獲れたのか?」といった情報まで詳細に表示され、透明性が高い点が中国の若い消費者にも支持されています。
会員システムはアプリと連動しており、店頭価格よりもお得になる会員割引が自動反映されます。これにより「どの商品が今お得なのか」がひと目で分かるようになり、買い物効率が非常に高くなるのも魅力です。
デジタル技術が生活の隅々まで浸透している中国だからこそ実現した、小売の新しいスタンダードと言えるでしょう。

鮮度への徹底したこだわり — “ライブ感”あふれる生鮮売り場
盒馬鮮生を訪れた多くの人が驚くのが、その“鮮度”への妥協のなさです。
特に海鮮コーナーは圧巻で、生簀に並ぶ魚介類はすべて活きた状態。希望すればその場で専門スタッフが捌き、刺身・火鍋・蒸し料理などに仕上げてくれます。
まるで市場のライブ感とレストランの手軽さを融合したような体験で、食のエンターテインメント性が非常に高いのが特徴です。
家族連れにも人気で、子どもが水槽の魚を眺めながら料理を待つ姿もよく見られます。
買い物だけでなく、“食を楽しむ空間”として成立しているのが、盒馬鮮生の大きな特徴と言えるでしょう。



30分以内配送サービス — 店舗を倉庫化した独自オペレーション
盒馬鮮生の画期的な点として外せないのが、周辺3km以内で利用できる “30分配送” のサービスです。
通常のスーパーでは店頭販売と配送は別オペレーションですが、盒馬鮮生は店舗そのものを多機能型の“ミニ倉庫(マイクロフルフィルメントセンター)”として活用。アプリから注文が入ると店員が売り場から商品を素早くピックし、天井に張り巡らされた配送レーンへ吊り下げる仕組みになっています。

この配送レーンは常に稼働しており、商品は空中を滑るようにしてバックヤードへ運ばれます。見た目にもインパクトのあるこの演出は、来店した人が思わず写真を撮りたくなるほど。
こうした効率化された仕組みにより、都市部では本当に30分以内に商品が到着することが多く、ECとリアル店舗の融合という“新小売”を象徴するシステムとなっています。
【体験談&店舗に直接買いに行く特典】
盒馬では直接買いに行くことによって得られる特典があります。それが9.9元以上の買い物で、1つ商品を無料でもらえるサービスがあるということ。店舗によって違いがありますが、多くの場合はレジ横に9.9元以上の買い物をした人に限り無料でもらえる冷蔵庫があります。レジに通して支払いを終えると、商品の値段が値引きされて、実質無料でもらうことが出来ます。ただ、注意点が2つあります。1点目は購入物と無料でもらえる商品を一緒にレジを通すこと。そうでなければ9.9元以上の買い物と判断されず、通常の会計になってしまいます。2点目が事前に会員になっておく必要があるということ。アプリで会員になっておかないとこの恩恵を受けることが出来ないので、注意して下さい。

日本のスーパーとの違い — “小売の価値観の差”が見えるポイント
盒馬鮮生を知るうえで興味深いのが、日本のスーパーとの比較です。どちらが優れているというよりも、生活様式・技術環境・消費者意識の違い が、小売の形にも色濃く反映されています。ここでは、特に違いが大きい3つのポイントを取り上げます。
① デジタル化の進み具合の違い
日本のスーパーでも近年セルフレジやキャッシュレス決済が増えてきましたが、依然として“レジスタッフ+現金払い”が根強く残っています。一方、盒馬鮮生では 最初からスマホ連動を前提とした設計 がされており、買い物プロセスのほとんどがデジタル化されています。
- QRコード読み取りで商品情報が確認できる
- 支払いはアプリ決済が基本
- 会員証も値引きもクーポンもアプリ一本で管理
「買い物=デジタル体験」という文化が、日常レベルで定着している点は、日本とは大きく異なる部分です。
② 即配(デリバリー)の浸透度の差
日本でも生協の宅配やネットスーパーが広がりつつありますが、“30分配送”を日常的に利用する文化 はまだ一般的ではありません。

中国都市部では、食品・日用品・生活雑貨のほとんどが「アプリで注文 → すぐ届く」が当たり前になっており、盒馬鮮生はその中心的存在です。
- 店舗=売り場+倉庫の役割
- ピック作業を店員が常時進行
- 天井レーンが商品を仕分け場へ高速移動
これにより、注文から数十分で商品が届く仕組みが成り立っています。
日本は物流網の質は高いものの、人手不足や法律面の制約もあり、中国ほどの即時配送文化がまだ根付いていない点が対照的です。
③ 陳列方法・価格帯・生鮮の“ライブ感”の違い
日本のスーパーは「清潔で整然とした売り場」「豊富な食品ラインナップ」「品質の信頼感」が特徴ですが、盒馬鮮生は次のような点で大きく異なります。
● 陳列のスタイル
- 日本:整った売り場、丁寧なパッケージ
- 盒馬:市場のようなダイナミックな陳列、生簀の海鮮が主役

● 価格帯
- 日本:中間価格帯が中心
- 盒馬:高品質食材・海外産食材も多く、“プチ贅沢スーパー”としての側面も強い

● ライブ感のある演出
- 生きたロブスターを選んでその場で調理
- 魚介を見せながらさばく実演
- 店内調理の音や香りが広がる“市場+レストラン”型の空間
この“食のライブ感”は日本のスーパーにはあまり見られません。
買い物がそのままエンタメや外食体験につながる点が、盒馬鮮生ならではの魅力です。

【体験談&並べられている商品】
店舗内には本当にたくさんの商品が所せましと並べられています。アプリ内と同じように各コーナーに分けられて商品が売られています。






日本ではあまり見ない竹、竹ジュースも売られています。

盒馬鮮生を使いこなす第一歩:アプリ設定から注文完了まで完全ガイド
盒馬鮮生の便利さを体感するには、まずその「脳」であり「心臓」でもある専用アプリの使い方をマスターする必要があります。今回は、初めての方でも迷わないように、設定から注文の完了までをステップバイステップで解説します。
ステップ1:アプリの入手と初期設定
まずは、App Storeまたは腾讯应用宝で「盒馬」を検索してアプリをダウンロードします。
【体験談&腾讯应用宝からのアプリの入れ方】
①Androidの方は直接「朴朴」を入れられないことが多いです。私の場合は「腾讯应用宝」をまずダウンロードしました。

②ダウンロード後のアプリを開けた画面がこちら。上の検索バーに「盒馬鮮生」を入力します。

③「盒馬鮮生」と入力すると水色のアイコンが出てくるので、これをダウンロードすればOKです。

➃心配な方はアイコンをタップして、どのようなことが出来るのか確認してもOKです。

1.アカウント登録:
起動後、中国の携帯電話番号を用いてSMS認証を行うのが最もスムーズです。WeChatやAlipayのアカウントと連携してのログインも可能です。
ここで注意点が一つ。盒馬の配送サービスは、店舗から半径約3km圏内というごく限られたエリアで提供されています。 アプリを開くと、まず位置情報の許可を求められるか、または配送先住所の入力を促されます。この段階でお住まいの場所がサービス対象外だと、残念ながら利用できません。
2.配送先住所の設定:
サービス対象エリア内であれば、次は正確な配送先住所を入力します。マンション名、部屋番号まで細かく記入することが、スムーズな配送のための第一歩です。自動設定される場合もあります。
3.支払い方法の登録:
中国国内で一般的なAlipay(支付宝) またはWeChat Pay(微信支付) との連携が必須です。アプリ内の「マイ」セクションから簡単にバインド(連携)できます。クレジットカード番号を直接入力する方式ではないため、中国の決済システムに慣れていない方には少しハードルに感じられるかもしれませんが、一度設定してしまえばその後は顔認証などでワンタッチ決済が可能になり、非常に便利です。
【体験談&インストール後の設定(画面付き)】
①アプリを開くと使用の同意画面になります。よければ青色のボタンを押します。

②青色ボタンを押すと、位置情報の登録になります。位置情報をオンにしておきましょう。

③位置情報を登録したらAlipayと連携します。連携するためにはAlipayの設定を事前にしておく必要があります。

➃位置情報、支払い方法の設定が終わったら、もう使えます。ほしい商品をカテゴリーから選びます。

ステップ2:注文の流れ~初心者でも迷わない画面の見方~
アプリのホーム画面は、上の➃のような画面になります。
上部バナー: 検索バーに加えて、商品コードをスキャンするボタンが設置されています。
商品カテゴリ: 「蔬菜(野菜)」、「水果(果物)」、「肉禽蛋(食肉・卵)」、「海鲜水产(魚介類)」、「速食烘焙(惣菜・ベーカリー)」など、日本のスーパーと同じ感覚で探せます。
「時限達」(時間指定配送): ここが盒馬の真骨頂です。通常は「30分ごとの時間枠」からお届け時間を選択できます。朝の時間帯は品切れがちな生鮮食品も在庫がある場合が多いので、気になる商品は早めの注文がおすすめです。
実際の注文プロセス:
1.商品選択: 気になる商品をタップすると、詳細説明(産地、重量、賞味期限など)とユーザーレビューが確認できます。その場で数量を選び、「カートに入れる」をタップします。
2.カートの確認: 買い物かごアイコンをタップし、注文内容を最終確認します。ここで、「配達時間」を再度選択できるのがポイントです。すぐに必要な場合は「立即送出」(すぐに発送)を、後で受け取る場合は希望の時間枠を選びましょう。
3.決済: 問題がなければ「结算」(決済)へ進みます。支払い方法を確認し、AlipayまたはWeChat Payで支払いを完了させます。
【体験談&買い物の流れ(画面付き)】
①ホーム画面から買いたい商品のカテゴリーを選択します。

②カテゴリー内から買いたい商品を選択します。

③商品を見て希望のものであれば、右下青色ボタンのカートに入れます。

➃買い物が済んだら、カートの中を見て、右下の青色ボタンを押して、支払いを進めます。

⑤配達時間を指定する。

⑥支払方法を指定して、支払いをする。

ステップ3:注文後の追跡と受け取り
決済が完了すると、注文は店舗に即座に転送されます。あとは下のような流れ・情報が見られます。
リアルタイム進捗表示: 「商品ピッキング中」、「袋詰め完了」、「配達員が店舗を出発しました」というように、注文の状態がほぼリアルタイムで更新されていきます。
配達員の情報: 配達員のお兄さん(小哥)の氏名と、場合によっては連絡先も表示されます。地図上で配達員の現在地が動いていく様子も確認できるため、到着が予測できて安心です。
受け取り: 注文から約30分後、インターホンが鳴り、配達員が商品を手渡してくれます。生鮮食品は保冷袋に入れられ、冷凍・冷蔵品には保冷剤がついているなど、細かい気遣いが感じられます。
まとめ
盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)は、中国における“未来型スーパー”の象徴ともいえる存在です。生鮮食品の販売にとどまらず、EC、レストラン、即時配送を融合した独自のモデルは、従来の小売の枠を大きく超えた新しい生活体験を提供しています。
高度なデジタル化や鮮度のこだわり、ライブ感ある店内演出など、日本のスーパーとはまた違った価値観が色濃く反映されており、その独創性は世界的にも注目されています。
観光の視点で見れば、中国旅行の際に一度は訪れてみたい“体験型スポット”として楽しめますし、ビジネスやマーケティングの視点では、新小売時代の方向性を示すモデルケースとして非常に参考になります。消費行動の変化やデータ活用のあり方など、学べる点は多岐にわたります。
そして、盒馬鮮生の成功は、今後の小売業全体に大きな影響を与えると考えられています。リアル店舗とECの境界がなくなり、買い物がよりパーソナライズされ、配送のスピードが生活の利便性を左右する時代。中国で起きている“新小売”の流れは、これからアジア全体、さらには世界へ広がっていく可能性があります。
この記事が、みなさんにとって盒馬鮮生のことが分かるものとなり、今後の小売の未来を考えるきっかけになれば幸いです。
おまけ
盒馬では日本の商品もいくつか手に入ります。種類は少ないですが、ちょっと恋しくなった時にぜひ見てみると良いでしょう。下にいくつか日本の商品の写真をはっておきますね。







