海外旅行・出張では、通常の生活習慣や環境とは異なるため、体調不良になることがよくあります。
旅行先で体調不良になった場合、市販薬の購入や病院の受診は可能ですが、薬にどのような成分が入っているか分からなかったり、病院に行っても受診料が高額になってしまうことがあります。また、言語や地理的な問題から即座な対処が難しいこともあります。そのため、短期の旅行・出張であっても、日本から使い慣れている市販薬を購入しておくことが大切です。
本記事では、日本から薬を持ち込む際の留意点や、海外旅行・出張におすすめの市販薬について紹介します。
海外旅行・出張をより安心・快適に楽しむために、ぜひ参考にしてください。
・海外に市販薬を持っていく際の留意点を知りたい人
・海外旅行・出張に使える市販薬が知りたい人
日本から薬を持ち込む際の留意点
海外旅行・出張に薬を持っていく際、空港の税関で止められてしまうのではないかと、不安になる人がいると思います。ここでは、簡単に海外に薬を持ち込む際の留意点についてまとめておきますので、参考にして下さい。
➊ 市販薬をパッケージのまま持ち込む
荷物のかさばりなどを考えてついついパッケージから取り出して、保護フィルムのついている中身だけをカバンに入れてしまいがちですが、これはNG行動です。
パッケージから出した状態で持参すると、薬の成分が判断できず、持ち込みの際に申請をする必要があったり、場合によっては持ち込みが出来なかったりということがあります。
➋ 大量に薬を持ち込まない
海外での生活を心配して、念のためにと必要以上に薬を持って行ってしまうことがありますが、これはNG行動です。
大量の薬を持ち込もうとすると、税関から営業目的ではないかと疑われる可能性があります。国によっては期間に関係なく一度に持参できる薬の数量に上限がある場合もあります。必要以上に持ち込もうとすると没収されることもあるので気を付けて下さい。
❸ 液体の取り扱いは規定に従う
市販薬には目薬、虫刺され・かゆみ止め薬、消毒液など液体のものがありますが、なんの対策もなしに機内に持ち込むのは、NG行動です。
国土交通省の資料によると、国際線では、液体の機内持ち込みに際して『100ml以下の個々の容器で、それらの容器を1リットル以下のジッパー付き透明プラスチック袋に入れてください。』と規定が書かれています。ただし、医薬品は例外なので空港の保安検査場で「医薬品」であることを保安員に伝える必要があります(「医薬部外品」と記載されている製品は医薬品ではないので大丈夫です)。
国際線では航空会社や保安員によって、医師の診断書や処方箋、薬の説明書や成分表などの提示を求められる場合があるので事前に準備しておくと安心です。
海外旅行・出張におすすめの市販薬
ここでは海外旅行・出張におすすめの市販薬を以下のカテゴリーに分けて紹介します。実際に筆者が中国に持って行ったことのある市販薬を中心に紹介したいと思います。
- 頭痛・鼻水・鼻づまり・くしゃみ・関節の痛みなどの風邪諸症状に総合風邪薬
- 花粉やほこりによる鼻水、くしゃみを緩和するアレルギー薬
- 発熱、頭痛や生理痛など様々な痛みに効果的な解熱鎮痛薬
- 食べ飲みすぎ、胃もたれに強い見方の総合胃腸薬
- 腸内環境を整えてくれる整腸剤・下痢止め
- 車や船などの移動に役立つ酔い止め薬
- 切り傷、擦り傷、やけどに使いたい化膿止め(塗り薬)
- 虫刺され、湿疹、かぶれにステロイド(塗り薬)
頭痛・鼻水・鼻づまり・くしゃみ・関節の痛みなどの風邪諸症状に総合風邪薬
渡航先によっては、日本とは気候や湿度が大きく異なり、極端な温度差や湿度差に体が対応しきれず、体調を崩してしまうこともあります。服装の調整がうまくいかず、体に負担がかかることもあるため、注意が必要です。
そんな時、風邪の症状に効果が期待できる成分が含まれた総合風邪薬をひとつ持っておくと、安心です。
そこで今回は、風邪症状におすすめの市販薬をご紹介します。風邪の初期症状であれば、市販薬を服用することで、症状を軽減し、快適に過ごすことができます。
せっかくの海外旅行を楽しむためにも、風邪薬は常備しておくと心強いでしょう。
大正製薬
大正製薬
エスエス製薬
花粉やほこりによる鼻水、くしゃみを緩和するアレルギー薬
飛行機内の気圧の変化や、現地の空気環境(ほこり、ダニ、花粉など)が原因で、アレルギー性鼻炎を引き起こすことがあります。アレルギー症状に悩まされやすい方は、アレルギー薬を事前に準備しておくと心強いでしょう。
今回は、旅行中に突然の鼻炎症状が出た時に役立つアレルギー薬をご紹介します。普段とは異なる環境では、何が原因で鼻炎が起こるか分からないため、予防としてアレルギー薬を持参することをおすすめします。鼻水やくしゃみで観光を楽しめなくなる前に、しっかり対策をしておきましょう。
エスエス製薬
皇漢堂製薬
久光製薬
発熱、頭痛や生理痛など様々な痛みに効果的な解熱鎮痛薬
旅行中、移動の際に足をひねったり、腰痛が悪化したり、頭痛が突然起こることもあります。こうした体の不調には、解熱鎮痛薬を持参しておくと便利です。発熱に対する解熱効果も期待できるため、万が一の症状にも対応できます。
そこで今回は、解熱鎮痛薬を紹介します。痛みが軽いうちに服用することで、薬の効果を最大限に引き出せます。体調に少しでも異変を感じたら、早めに薬を飲んで対処しましょう。
エスエス製薬
エスエス製薬
第一三共ヘルスケア
食べ飲みすぎ、胃もたれに強い見方の総合胃腸薬
初めての海外旅行では、普段とは違う食文化や食べ物が多いため、食べ過ぎや飲み過ぎによる胃の不調が起こりやすいです。美味しい料理を楽しみたいのに、胃がもたれてしまうと、せっかくの旅行が台無しになってしまいますよね。特に長時間の移動や異なる食材が原因で、消化不良や胃もたれが起こることもあるので、事前に対策を講じておくと安心です。
そんな時に役立つのが、総合胃腸薬です。これを持参しておけば、胃の不調を軽減することができ、旅行中でも快適に食事を楽しむことができます。海外には日本では見かけない食材や調理法がたくさんあり、食事の環境が変わることで胃腸に負担をかけてしまうこともあります。薬を上手に活用し、体調の変化に対応しながら旅行を思いっきり楽しみましょう。
興和株式会社
アサヒグループ食品
ロート製薬
腸内環境を整えてくれる整腸剤・下痢止め
慣れない環境や食生活の変化によって、お腹の調子を崩してしまうことがあります。そんな時に備えて、整腸剤を持っておくと安心です。腸内環境を整える効果があり、軽い不調であれば早めに改善する手助けをしてくれます。
特に旅行や出張など、普段と違う食事をする機会が増えると、体が驚いてお腹がゆるくなることも少なくありません。整腸剤や下痢止めを携帯しておくことで、急な不調にも冷静に対処できます。
ただし、下痢が続く場合や発熱・吐き気などの症状を伴う場合は、感染症の可能性もあるため、無理せず速やかに医療機関を受診することをおすすめします。
大正製薬
アリナミン製薬
ミヤリサン製薬
車や船などの移動に役立つ酔い止め薬
渡航先での移動は、日本とは異なる環境に直面することもあります。未舗装の道路を車で長時間走る場合や、揺れが激しい船での移動などでは、乗り物酔いを引き起こす可能性があります。こうした状況に備えて、酔い止め薬を持参しておくと安心です。
特に移動が多い旅行や観光では、乗り物酔いが旅の楽しみを損なうこともあります。普段は酔いにくい方でも、慣れない移動環境では症状が出ることがあるため、酔い止め薬を事前に準備しておくことをおすすめします。
エーザイ
エスエス製薬
大正製薬
切り傷、擦り傷、やけどに使いたい化膿止め(塗り薬)
渡航先で海水浴や登山などのアウトドア活動を楽しむ際には、擦り傷や切り傷といった小さなケガをすることがあります。特に自然の中では、不意に岩や木の枝で擦れてしまったり、転倒して傷を負ったりすることは珍しくありません。こうした小さな傷でも、適切に処置をしないと化膿してしまう恐れがあるため注意が必要です。
そのため、化膿を防ぐための抗菌効果のある塗り薬や、清潔なガーゼ、絆創膏などを持参することをおすすめします。これらのアイテムがあれば、傷口を清潔に保ち、感染症のリスクを軽減することができます。また、万が一傷が深かったり、腫れや痛みがひどい場合は、早めに医療機関を受診することも大切です。
アウトドアでは、楽しみとともに思わぬアクシデントもつきものです。備えを万全にし、早め早めの対処を心がけることで、ケガを最小限に抑え、旅行や活動を存分に楽しむことができるでしょう。
大塚製薬
株式会社陽進堂
JNTLコンシューマーヘルス
虫刺され、湿疹、かぶれにステロイド(塗り薬)
自然豊かな地域に旅行する際に気をつけたいのが虫刺されです。特に森林や湖の周辺を散策する場合、虫に刺されるリスクが高まります。海外には日本にはいない種類の虫も多く生息しており、刺されると湿疹やかぶれ、さらにはアレルギー反応を引き起こす可能性もあります。
こうした虫刺されへの備えとして、炎症を抑えるステロイド成分や、かゆみを和らげる成分が配合された塗り薬を持参しておくと安心です。また、虫よけスプレーや長袖・長ズボンを着用して、事前に刺されないよう対策することも重要です。
ただし、刺された箇所が腫れて痛みがひどい場合や、現地で注意喚起されている毒性のある虫に刺された場合は、自己処置に頼らず、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。万全の準備と早めの対応が、快適な旅を支えるポイントです。
ロート製薬
田辺三菱製薬
池田模範堂
最後に
海外旅行に薬を持ち込む際の注意点や対策、そして症状別に役立つ市販薬について解説しましたが、ご参考いただけましたでしょうか?
治療中の薬を持参する場合は、主治医に薬剤証明書を作成してもらうことが重要です。また、渡航先の法律によっては持ち込みが制限される場合もあるため、事前に在日外国公館に確認することを忘れないようにしましょう。
慣れない環境で体調を崩した場合、「どう対応すればよいのか」と不安に感じることもあるかと思います。あらかじめ用意しておいた薬が少しでも手元にあれば、安心感につながります。ただし、それらの薬はあくまで一時的な対応用であることを認識しておきましょう。
もし市販薬を服用しても症状が改善せず、逆に悪化するようであれば、速やかに渡航先の医療機関を受診することをおすすめします。準備を万全にして、安心して海外旅行を楽しみましょう。