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深圳・大芬油画村ガイド|アートと職人が共存する“絵の村”を歩く

大芬油画村(Dafen Oil Painting Village)は、中国・広東省深圳市の羅湖区に位置するアート産業エリアです。
わずか数平方キロメートルの範囲に、数千人の画家、職人、販売業者が集まり、街全体が一つの巨大な「絵画工場」でもあり「芸術村」でもあります。

この村は、世界でも類を見ないほどの油絵生産量を誇り、かつては「世界の複製画の70〜80%がここで描かれている」とも言われたほど。村の通りには無数のキャンバスが並び、完成した作品が所狭しと積み上げられ、アートが“日常”として息づいています。

大芬を訪れると、まず驚くのはその空気感です。どこからともなく絵の具の香りが漂い、路地の奥から筆を走らせる音が聞こえます。画家たちは窓を開け放ち、通りを歩く人々に制作過程を見せることを惜しみません。絵を描くことが仕事であり、生活であり、文化そのものとなっている――そんな“生きたアート空間”がここにはあります。

近年では、従来の複製画制作だけでなく、オリジナルの現代アートやデザイン作品を手がける若手アーティストも増えています。職人技と創造力が交差する村として、観光客だけでなく国内外のアート関係者からも注目される存在となっています。

まるみ

深圳ではあまり聞かない場所だけど、どんな場所なのかな?

まるもん

確かにまだあまり知られてはいない場所だね!ただ、深圳で絵画に触れられる貴重な場所だよ。ぜひチェックしてみよう!

歴史と背景

大芬油画村の歴史は、深圳の成長と密接に関わっています。
1990年代初頭、香港に近い深圳の羅湖区に、欧米向けに油絵の複製を制作・輸出する画家たちが集まり始めたのが起点でした。中国が改革開放政策を進め、深圳が経済特区として急速に発展していた時期です。

当初の大芬は、数名の職人が名画の模写を行う小規模な工房の集合体に過ぎませんでした。しかし、需要は急増。安価で高品質な複製画を求める海外市場に支えられ、村は次第に成長を遂げます。
モネ、ゴッホ、ピカソ、ダ・ヴィンチなど、西洋の巨匠たちの名画を忠実に再現する技術は高く評価され、やがて世界的な「複製画の聖地」として知られるようになりました。

歴史的に有名な絵画をモチーフに面白い描写に書き直した壁画がありました。

2000年代に入ると、大芬油画村は世界最大級の油絵生産地となり、海外輸出の中心拠点として発展します。報道によると、最盛期には年間数百万枚もの絵画が制作され、欧米のホテル、商業施設、ギャラリーに納品されていました。

一方で、経済発展とともに、村の中では“次の段階”へ進もうという動きも生まれます。
複製だけではなく、自らの感性を表現したオリジナル作品を描こうとする若手画家たちが登場したのです。彼らは個展を開き、SNSを通じて発信し、アートフェアへの出展も積極的に行うようになりました。

深圳市政府もこの変化を支援し、「創造都市・深圳」構想の一環として大芬を文化観光地として整備。展示施設やアートイベントが増え、いまでは“生産型アート産業”から“創造型文化拠点”へと進化を続けています。

【体験談&昔と今が共存する場所】

村を歩いていると歴史的に有名な絵画の複製画が飾られていることが多いですが、中には今中国で有名なアニメの絵が描かれている壁もあります。昔と今が入り混じっている所に魅了されます。

中国で有名なナタというアニメ。午前中早くに行くとほとんど人がいない状態で写真を撮ることが出来ます。

見どころ

村全体がギャラリー

大芬油画村の最大の魅力は、街そのものが美術館のような空間であることです。
路地には無数の画廊やアトリエが並び、建物の壁や窓にさえ絵画が飾られています。印象派の風景画から抽象的な現代アートまで、ジャンルは非常に多様。作品は手の届く価格からコレクター向けの高額作品までそろい、誰でも気軽に立ち寄り、購入できます。

正面入り口の目印となる像がこちら。

【体験談&村全体でSNS映え写真が撮れる】

大芬油画村に入ってまわってみると感じるのが、どの景色も映えるということ。ここに訪れていた外国の方も村の風景を写真に撮っている人が多く、インフルエンサーの方もいました。天気が良ければ本当によく映える写真が撮れるのでぜひ来てみて下さい。

制作現場を間近で見学

多くの画家は、制作風景を公開しています。通りを歩けば、真剣な眼差しでキャンバスに向かう職人たちの姿が見られます。複製画とはいえ、その筆づかいや色使いには確かな芸術性が感じられ、観る者を圧倒します。
一部の工房では見学体験や短期レッスンを受けることも可能で、旅行者にも人気です。

絵画を写真で撮る時は必ず写真を撮っていいか聞きましょう。時折写真を断られるときがあります。

【体験談&絵画だけでない手芸品】

ここ大芬油画村には絵画だけでなく、手作業で作ったアクセサリーも売られています。一つ一つ違ったデザインに魅了させられます。価格交渉も出来るのでほしい商品があったら店員に声をかけてみましょう。

オーダーメイド絵画体験

大芬油画村では、自分の写真やイメージをもとにオーダーメイドで絵を描いてもらうことができます。肖像画、ペットの絵、家族写真の油絵化など、注文内容は多彩です。依頼から数日で完成するものもあり、旅の思い出として購入する人も多く見られます。

【体験談&ものの数分で・・・】

今回訪れた際にオーダーメイドで似顔絵を描いてもらいましたが、本当にものの数分で似顔絵を書いてくれました。ちょっとした大芬油画村の絵画を感じるためにもぜひ体験してみて下さい。

若手アーティストの台頭

ここ数年、村の一角にオープンするギャラリーでは、オリジナル作品を発表する若手作家の活動が活発になっています。伝統的な油絵技法をベースにしつつ、現代的なテーマやデジタルアートとの融合を試みる作品も多く、中国現代アートの新潮流を体感できる場所でもあります。

【体験談&絵画に必要なものが買える】

ここ大芬油画村は絵画をに必要なものはほぼ全て買うことが出来ます。価格も安く、絵を描くことを趣味にしている人や、仕事として絵画に携わっている人が多く、物品を購入しに来ます。ここでしか買うことのできないものもあるので、ぜひチェックしてみて下さい。

アート×カフェ・イベント空間

中心エリアにはアート関連のカフェやアトリエカフェが点在し、展示を見ながら休憩することができます。週末には即興ライブペイントやアートマーケットが開催され、地元の人々と観光客が交流する姿が見られます。

行き方とアクセス

大芬油画村は、深圳市中心部からのアクセスが良好です。
地下鉄3号線(龍崗線)の大芬駅(Dafen Station)で下車し、A出口から徒歩約10分。駅を出ると案内板があり、徒歩ルートも整備されています。

深圳駅からは約25分、福田中心区からは約30〜40分ほどで到着します。
村の入口付近にはタクシー乗り場と観光案内所があり、英語表記の地図も配布されています。

自家用車で行く方は駐車場もあるので、ぜひ利用して下さい。

かなりの台数が止められるので、止められない心配はあまりなさそうです。

周辺には地元の飲食店や軽食スタンドも多く、食事を取りながらゆっくりと散策するのがおすすめです。特に南方料理や潮州料理の食堂が人気で、観光とグルメを同時に楽しむことができます。

【体験談&村の地図】

この村全体は割と大きく、細い道が多いので、あまり把握せずに入ってしまうと迷子になってしまいます。村全体の地図は正面入り口の所にあるので、チェックしてから入ると良いでしょう。

近くには美術関係の学校や会社も多くあります。

体験と印象

大芬油画村を訪れると、まず感じるのは“絵画が生活の一部である”ということです。
絵を描く人、売る人、買う人――そのすべてが一つの街に存在し、互いに支え合って成り立っています。制作現場には静けさと緊張感がありながら、同時に活気と温かみもあります。

村を歩いていると、外国人観光客の姿も多く見かけます。彼らの多くは、安価で質の高い油絵を購入する目的で訪れますが、中には地元の画家と直接交流し、作品を依頼していく人もいます。こうした交流が新たな文化の架け橋となっており、大芬油画村の国際的な魅力を高めています。

また、地元の若い画家たちはインターネットやSNSを活用し、自らの作品を国内外に発信しています。かつて「複製画の村」と呼ばれた大芬が、今では“創造の拠点”へと進化している姿を、現地で肌で感じることができるでしょう。

【体験談&大芬油画村にある無料の美術館】

大芬油画村には他の地域ではめずらしい無料の美術館があります。複製のものではない、オリジナルの絵画が楽しめる場所なのでぜひ行ってみて下さい。写真は撮ってもいい場所と撮ってはいけない場所があるので、表示を見ながら撮るようにして下さい。

なお、大芬油画村は公衆トイレが非常に少なく、カフェやお店に入らないと利用できないことが多いです。ただ、この美術館は無料でトイレを利用できるので、もし行きたくなったら利用してみると良いでしょう。

工事で使えない時もあるそうです。

まとめ

大芬油画村は、深圳の経済発展とともに成長してきた“職人芸術の象徴”です。
複製画から始まった村は、いまやオリジナルアートの発信地へと変化し、産業と文化の融合を体現する場所となりました。

ここでは、アートが特別なものではなく、日々の暮らしの中に息づいています。
筆の音、絵の具の香り、そして画家たちの真剣な眼差し――そのすべてが、深圳という都市の「創造力」を象徴しているかのようです。

大量生産と個性、伝統と革新、職人とアーティスト。
その狭間にある“人間らしい創造の力”を感じられる場所――それが大芬油画村です。
深圳を訪れるなら、一度は立ち寄ってみる価値のあるアートスポットといえるでしょう。

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