広州のにぎやかな街並みを歩いていると、ふと現れる静かな空間――それが「大佛古寺(だいぶつこじ)」です。
高層ビルに囲まれた都会の真ん中にありながら、一歩足を踏み入れるとまるで別世界。お香の香りが漂い、金色に輝く大仏が静かに佇むその姿は、訪れる人の心を自然と落ち着かせてくれます。
今回の旅では、広州の喧騒から少し離れて、心を整えるひとときを求めてこの寺院を訪れてみました。
この記事では、大佛古寺の魅力や見どころ、アクセス方法などを、実際に歩いて感じたリアルな目線でご紹介します。
1. はじめに:大佛古寺とは?

広州の中心地、地下鉄「西門口駅」から歩いてすぐの場所にひっそりと佇むのが「大佛古寺(Dafosi)」です。にぎやかな街の喧騒から少し離れて、心を落ち着かせる時間を持ちたいと思ったとき、このお寺はまさにぴったりの場所。境内に一歩足を踏み入れると、金色に輝く巨大な仏像と、お香の香りに包まれた静かな空間が広がっています。
このお寺の歴史はとても古く、最初の創建はなんと南朝・梁の時代、6世紀ごろと言われています。その後も多くの信仰を集めてきましたが、文化大革命の時代に一度は破壊されてしまいました。現在の姿は、1980年代に再建されたものですが、歴史と敬虔な空気を感じさせる佇まいは、長い年月を経た建築物と遜色ありません。
大佛古寺の最大の見どころは、やはり本堂に鎮座する三体の巨大な金色の仏像です。釈迦如来・阿弥陀如来・薬師如来の三仏が並ぶ様子は圧巻で、その神聖な雰囲気に心を打たれる人も多いはず。観光地として派手な演出はありませんが、だからこそ、静かに自分と向き合える貴重な時間が流れています。
2. 行き方・アクセス方法
大佛古寺は、広州市内でもアクセスしやすい立地にあります。初めて広州を訪れる方でも、迷わず行けるのが嬉しいポイントです。
地下鉄でのアクセス
最も便利なのは、広州地下鉄1号線を利用する方法です。「西門口駅(Ximenkou)」で下車し、D出口を出て徒歩約3分ほどで到着します。駅を出てすぐに「大佛寺」と書かれた門が見えてくるので、道に迷う心配もほとんどありません。地下鉄は本数も多く、市内の主要観光地からもアクセスしやすいためおすすめです。
タクシーや配車アプリを使う方法(おすすめ)
広州市内からタクシーを利用する場合、運転手に「大佛寺(ダーフースー)」と伝えればOKです。広州では配車アプリ(DiDi/滴滴出行)も一般的なので、スマホにアプリを入れておくと便利です。観光地からの移動で荷物が多いときや、家族連れにも安心な手段です。私の場合はいつも市内はタクシーを利用しています。詳しい中国のタクシーの乗り方は下の記事を参考にして下さい。

バスを使う場合
広州では市バスも網の目のように走っており、地元の人はバスでのアクセスもよく利用します。大佛古寺の近くには「中山六路」「西門口」などのバス停があり、路線も豊富。ただし、中国語の表示が多いため、バスを使い慣れていない方にはややハードルが高いかもしれません。ローカルな雰囲気を楽しみたい方にはおすすめです。
【体験談&目的地までの手順】
①広州市のホテルからタクシーで行きました。広州市内のタクシーは赤色や黄色の車が目印です。DiDiなどの配車アプリを使って乗ることが出来ます。

②北京路歩行街という場所で降りてそこから街の様子を見ながら目的地に向かいました。土日ということもあり、かなりにぎわっていました。食べ物屋さんが連立するのでグルメな方にはぴったりの場所です。

③通りを歩いていると、この門が見えます。ここが大佛古寺の入り口です。出入りが激しいので立ち止まらないようにして下さい。ぶつかったりして危ないです。

➃門をくぐって中に入っていくともう一度きらびやかな門が見られます。ここからいよいよ大佛古寺を見ることが出来ます。

3. 見どころ紹介
大佛古寺を訪れたら、ぜひじっくりと味わいたいのが、その荘厳な建築と心落ち着く空間です。にぎやかな広州市内にありながら、ここだけは時間がゆっくりと流れているように感じられます。
圧巻の大仏殿:三体の金色の仏像

まず最初に目を引くのが、本堂(大雄宝殿)に鎮座する三体の巨大な金色の仏像です。中央には釈迦如来(しゃかにょらい)、向かって左に薬師如来(やくしにょらい)、右に阿弥陀如来(あみだにょらい)が並び、その高さと存在感には思わず息を呑んでしまいます。
金箔で輝く仏像は、どこから見ても神々しく、見る者の心を静かに包み込むよう。朝の光が差し込む時間帯には、仏像の光沢がさらに引き立ち、神聖な雰囲気に包まれます。
境内に広がる静寂の空間:庭園

境内を歩いていると、ふと現れるのが緑豊かな庭園。ベンチに座って風に揺れる木々を眺めるだけで、都会の喧騒を忘れられます。ゆっくりと歩く回廊もあり、仏教の世界観を感じさせる空間が広がります。
この静けさは、大佛古寺ならではの魅力。多くの参拝者が静かに手を合わせる姿が印象的で、「ここに来てよかった」と感じる瞬間が何度も訪れます。
美しい建築と装飾にも注目

見上げれば、屋根の端には細やかな装飾が施され、龍や鳳凰の彫刻、色鮮やかな瓦のデザインなど、中国伝統建築の美がそこかしこに散りばめられています。写真好きの方にはたまらないディテールが満載で、特に晴れた日には青空と建物のコントラストが美しく映えます。
お香の香りと写真映えする瞬間

境内全体にはお香の香りがふんわりと漂い、それがまた空間全体の「厳かさ」を引き立てています。お香を手に祈りを捧げる人々の姿は、まさに中国ならではの光景。シャッターを切る瞬間に、旅の思い出として残る一枚が撮れることでしょう。
4. 実際に訪れた感想・体験談

私が大佛古寺を訪れたのは、休日の夜8時すぎ。表通りに賑わいはありましたが、境内にはゆっくりとした時間が流れていました。
観光地というよりも、「地元の人たちの心のよりどころ」といった雰囲気が強く、夜でも熱心にお参りするお年寄りの姿や、静かに座って瞑想する人たちの姿がとても印象的でした。
静かで落ち着いた空気感
都会の真ん中にあるとは思えないほど、境内は静かで落ち着いています。
ときおり聞こえるお経の声や風に揺れる木の葉の音が心地よく、つい深呼吸をしたくなるような場所です。
観光客の姿もちらほら見かけますが、どの人も自然と声をひそめ、マナーを守って静かに見学している様子が印象的でした。
夜の時間帯がおすすめ!
個人的には、夕方から夜にかけての時間帯に訪れるのがおすすめです。拝みに来る人が多い中で、どこか幻想的な雰囲気を味わうことが出来ます。
また、ライトの光が本堂の金色の仏像に反射して、神々しさが一層際立つ瞬間にも出会えます。
写真撮影についての注意点
建物の外観や境内の風景は写真撮影OKですが、本堂の内部(仏像がある場所)では撮影禁止となっていることが多いです。私が訪れたときも、係の方から「中ではカメラをしまってください」と丁寧に案内がありました。
また、撮影する際はまわりの参拝者への配慮も忘れずに。お香をあげている人やお祈りをしている人が映り込まないよう、そっとカメラを構えるのが大佛古寺でのマナーです。
5. 注意点・マナー
大佛古寺は、観光地であると同時に、今も多くの人が信仰の場として訪れている大切なお寺です。見学の際には、心静かに過ごすことを意識して、地元の方々への配慮を忘れずに行動しましょう。

静かに過ごすことが大前提
境内では、私語や大声での会話は控えましょう。特に本堂付近ではお経が流れていたり、実際に祈りを捧げる方が多くいらっしゃいます。スマートフォンの通知音なども気になるので、マナーモードにしておくのがおすすめです。
写真を撮る際も、シャッター音をオフにする、フラッシュは使わないなど、周囲への配慮を大切にしましょう。
寺院内での禁止事項
本堂に入る際は、帽子やサングラスを外すのが礼儀とされています。食べ歩きや飲み物を持ち込むのもマナー違反になるので、境内では飲食を控えましょう。
また、仏像に触れたり、供物に手を出したりするのは絶対にNGです。係員の案内や掲示がある場合には、必ず従うようにしましょう。
服装にも気配りを
夏場は特に気をつけたいのが服装。大佛古寺に限らず、中国の寺院では露出の多い服装(ショートパンツ、肩出しトップス、ミニスカートなど)は好ましくないとされています。
観光目的であっても、肩や膝が隠れるような服装を心がけると安心です。必要であれば、羽織れる薄手のカーディガンやストールなどを持っていくと便利です。
6. 周辺の観光スポットとの組み合わせ
大佛古寺を訪れたあとは、その周辺エリアの観光やグルメもぜひ楽しんでみてください。徒歩や地下鉄でアクセスしやすい人気スポットがいくつもあります。
陳家祠(ちんかし) ― 美しい装飾の広東建築

大佛古寺から地下鉄で1駅、またはタクシーで10分ほどの場所にあるのが「陳家祠(Chen Clan Ancestral Hall)」です。ここは19世紀末に建てられた一族の祠堂で、中国南部建築の傑作とも称されるほどの美しい装飾が特徴。
木彫り・石彫り・陶磁装飾の細やかさには目を見張ります。写真映えスポットとしても人気で、芸術好きな方には特におすすめです。
上下九路歩行街 ― ローカル感満点のショッピング通り

大佛古寺から徒歩15分ほどで行ける「上下九路(シャンシャージウルー)歩行街」は、広州でも有名な繁華街のひとつ。伝統的な南洋風建築が並ぶレトロな街並みに、ローカルなお土産屋さんやスイーツショップ、カフェがずらりと並んでいます。
買い物はもちろん、ぶらぶらと歩くだけでも楽しく、昔ながらの広州の雰囲気を感じられるエリアです。
ローカルグルメもお忘れなく!

観光の合間には、広州ならではのローカルフードでひと休みしましょう。大佛古寺周辺や上下九路付近には、地元の人に愛される名店がたくさんあります。
- 腸粉(チョンファン):米粉で作ったつるっとした蒸しクレープに具を巻き、甘じょっぱいタレをかけた点心の定番。朝食や軽食にぴったり。
- 沙茶牛肉粉(シャーチャーニウロウフェン):ピーナッツやスパイスの効いた沙茶醤で味付けされた牛肉入り米麺。コクがあってクセになる味。
- 双皮奶(シュアンピー ナイ):牛乳を使った優しい甘さのプリン風スイーツ。ひんやり滑らかで、歩き疲れた体にも嬉しい一品。
これらは地元の小さな食堂や屋台で気軽に楽しめるので、観光とセットでぜひ味わってみてください。
7. まとめ
広州の中心部にありながら、静かで落ち着いた空気が流れる大佛古寺。
ここは単なる観光スポットというよりも、心を静め、自分と向き合う時間を持つための場所だと感じました。
荘厳な三体の金色の仏像、丁寧に手入れされた庭園や池、漂うお香の香り──すべてが静けさをまとい、訪れる人の心を自然と穏やかにしてくれます。
喧騒を離れて、ほんのひとときでも“無”になれる場所。それが大佛古寺の一番の魅力だと思います。
広州旅行といえば、飲茶やショッピング、美しい近代的な建築などを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、ぜひそのスケジュールの中に大佛古寺でのひとときを加えてみてください。
観光とはまた違った、「心に残る体験」がきっと待っています。