中国の都市を歩いていると、道端にずらりと並ぶカラフルな自転車が目に入ります。青や黄色、オレンジなど、ブランドごとに色分けされたこれらの自転車は「レンタル自転車(シェアバイク)」と呼ばれるもので、都市の風景の一部としてすっかり定着しました。
利用方法はとてもシンプル。スマホでQRコードを読み取ればすぐに解錠でき、どこからでも気軽に乗り出せます。その手軽さから「歩くより早く、タクシーより安い」というキャッチコピーがぴったりで、通勤や通学、買い物といった日常の移動手段として、多くの人に支持されています。
さらに、このサービスは地元の人々だけでなく観光客にとっても便利です。地下鉄の駅から観光地までの“ラストワンマイル”を埋める交通手段として、自転車を使えば効率的に街を巡ることができます。車では入りにくい路地や、徒歩では少し遠いエリアでも、自転車なら気軽にアクセスできるのが魅力です。
今や、中国のレンタル自転車は「交通手段」という枠を超えて、都市のスマートシティ化を象徴する存在となっています。街並みと一体化したレンタル自転車の姿は、現代中国のスピード感や生活スタイルを映し出すものとも言えるでしょう。
自転車が使えたら、ちょっとした出先に行くのにも便利だね!
だからこそこの記事を読んで、レンタル自転車の使い方をしっかりとおさえておこう!
歴史と発展
中国のレンタル自転車が本格的に普及し始めたのは、2016年頃のことです。スマートフォンとモバイル決済の急速な広がりを背景に、アプリを使って簡単に利用できるレンタル自転車が都市部で一気に広まりました。
その先駆けとなったのが Mobike(モバイク) や Ofo(オフォ) といった企業です。彼らは街の至るところに自転車を配置し、利用者がアプリで解錠して乗り捨てできる仕組みを導入しました。この斬新なビジネスモデルは、中国の生活スタイルを大きく変えただけでなく、世界中から注目を集めました。
しかし、急速な成長の裏で課題もありました。多くの企業が次々と参入した結果、市場は過当競争に陥り、自転車の大量放置や資金難による倒産が相次ぎました。特にOfoは一時期「黄色い自転車」で街を埋め尽くすほどの存在感を示しましたが、経営難により大きく縮小しています。
その後、市場は整理が進み、現在では 美団(Meituan Bike) や 哈啰出行(Hello Bike) など、大手数社に集約されました。これにより管理体制も整い、以前よりも安定したサービスとして定着しています。今ではレンタル自転車は中国の都市インフラの一部とも言える存在になっているのです。


使い方の紹介
中国のレンタル自転車は、スマートフォンさえあれば誰でも簡単に利用できます。基本的な流れはとてもシンプルです。
アプリをダウンロード
まずは利用したいサービスの公式アプリをスマートフォンにインストールします。代表的なものは「美団(Meituan Bike)」や「哈啰出行(Hello Bike)」などです。今回は美団を中心に説明していきます。

【体験談&自転車のアプリを起動するまで】
①「美団」アプリを開いて上部のカテゴリーをスライドしながら自転車マークを探す。

②見つからない場合は「全部服务
」を押してそこから探す。

③上下にスクロールしていって「骑车」を探す。

➃位置情報の許可をして、自転車を探せるようにする。

アカウント登録
電話番号を入力してアカウントを作成し、身分証や支払い方法を登録します。中国国内ではAlipay(アリペイ)やWeChat Pay(微信支付)が主流で、これらを登録しておくとスムーズに決済が可能です。私の場合はすでに支払方法を登録してあったので画面に表示されませんでした。旅行者の場合は、クレジットカード連携や一部サービスで提供されている「外国人向け利用プラン」を利用できるケースもあります。
【体験談&登録方法】
①電話番号を入力する。

②そうすると入力した電話番号あてに4桁の数字がSMSで送られてくる。

③登録が完了。戻るボタンを押す。

➃位置情報の共有を許可するかどうか選択する。

QRコードで解錠
年齢確認を終わらせます。あとは乗りたい自転車を見つけたら、サドルの後ろやハンドル付近にあるQRコードをアプリでスキャンします。すると自動で鍵が解除され、そのまま利用を開始できます。

【体験談&乗るまでの操作】
①12歳以上であれば、画面下部右下の黄色のボタンを押す。

②自転車についているQRコードをスキャンして乗る準備完了。

利用料金と支払い
料金は非常にリーズナブルで、一般的には 30分あたり約1元(日本円で20円前後) が目安です。走行終了後は、アプリ上で「返却」を押し、自転車のロックを閉じれば自動的に決済されます。
【体験談&乗った後の流れ】
①止めたら画面下部の黄色のボタンを押す。

②割引クーポンの広告が出てきますが、特に気にする必要はなし。オレンジ色のボタンの下のボタンを押す。

③あとは支払うだけでOK。Alipay(アリペイ)やWeChat Pay(微信支付)を紐づけておくとそこから支払われる。

このように、初めての人でも直感的に使える仕組みになっているため、地元の人だけでなく観光客にも人気を集めています。特に短距離移動や、地下鉄駅から目的地までの“最後のひと区間”に活用するのが便利です。
メリット
中国のレンタル自転車がここまで普及した背景には、日常生活や旅行において多くのメリットがあるからです。
1. 短距離移動に便利
タクシーを呼ぶほどではない距離、歩くには少し遠い距離――そんな「中途半端な移動」に最適なのがレンタル自転車です。都市部では地下鉄の駅からオフィスやショッピングモールまでの“最後の数分”の移動に活用されることが多く、生活の一部として定着しています。
2. 渋滞回避・環境にやさしい
都市では朝夕のラッシュ時に道路が大渋滞することも珍しくありません。そんな中、自転車でスイスイと走れば時間短縮にもなり、ストレスも軽減されます。また、ガソリンを使わない自転車は二酸化炭素の排出を抑えられるため、環境に優しい交通手段としても評価されています。

3. 観光地や駅周辺での機動力アップ
観光客にとっても、レンタル自転車は心強い味方です。広い公園や観光地を効率的に巡ったり、駅からホテルまでのアクセスに使ったりと、旅の自由度をぐっと高めてくれます。特にタクシーがつかまりにくい時間帯やエリアでは、自転車の機動力が大きな助けになります。

このように、レンタル自転車は「手軽さ」「スピード」「環境への配慮」を兼ね備えた便利な存在として、多くの人々に支持されているのです。
【体験談&駐在員にとっての自転車】
日本では気軽に乗れるバイクや車ですが、海外では会社によって駐在員はバイクや車に乗ってはいけないと決められていることがあります。実際私の友人も車やバイクは禁止されていました。そのような中で許されることが多いのが自転車です。自転車は比較的乗ることが許されている会社が多く、気軽に安く使えるのが最大のメリットです。また、保管場所も家に必要なく、スペースに困ることが無くなります。なので、中国に来て移動手段として使うアプリとしては自転車アプリは早めに入れても良いかもしれません。上の登録方法を参考に早めに準備しておきましょう。
デメリットや課題
便利で多くの人に利用されているレンタル自転車ですが、普及の過程でいくつかの課題も浮き彫りになっています。
1. 放置自転車の問題
初期のころは、利用者が好きな場所に自転車を置ける「フリーパーク方式」が一般的でした。その結果、歩道や広場に自転車が大量に放置され、通行の妨げになるケースが多発しました。現在は指定駐輪エリアを設けるなどの対策が進められていますが、完全に解決されたとは言えません。
【体験談&深刻な放置自転車、歩道の確保の問題】
中国は都市部に行けば比較的コンクリートの歩道が多く、歩きやすい環境になっています。しかし、放置自転車によって、この環境は崩されていると思います。乗り捨てされた自転車、つぶれた自転車など都市によっては無残に道に倒れていることが多いです。私は赤ちゃんがいますが、このような道端に倒れている自転車の問題があり、ベビーカーを使わない時期がありました。みなさんも歩行する際に気を付けるようにして下さい。
2. 利用者マナー
乱暴な利用による自転車の破損や、ルールを守らない駐輪も課題の一つです。壊れた自転車が街中に放置されると景観を損なうだけでなく、サービスの信頼性にも影響を及ぼします。運営企業はAIによる位置情報管理やメンテナンス体制を強化していますが、利用者のマナー向上も不可欠です。
3. 旅行者にとってのハードル
中国国内の利用者にとってはスマホ決済と紐づけるだけで簡単に使えますが、海外からの旅行者にとっては少し難易度が高い場合があります。特に、AlipayやWeChat Payを登録する際に中国の銀行口座や電話番号が必要になるケースもあり、気軽に利用できない人も少なくありません。最近は外国人向けの簡易登録プランも増えていますが、まだ課題が残っています。
このように、利便性と同時に解決すべき問題も抱えているのが現状です。とはいえ、都市の交通インフラとして定着している以上、今後はさらに改善が進み、より快適に利用できる環境が整っていくことが期待されます。
最近のトレンド
中国のレンタル自転車は、単なる「自転車シェアリング」の枠を超えて進化を続けています。近年では、より利便性や快適さを追求した新しいトレンドが次々に登場しています。
1. 電動シェア自転車の普及
従来の人力自転車に加え、電動アシスト付きのシェア自転車が広く普及し始めています。坂道や長距離移動でも負担が少なく、特に若者や通勤者の間で人気が高まっています。これにより、従来は徒歩やタクシーに頼っていた移動範囲がさらに広がりました。
2. 衛生面を意識した清掃管理
新型コロナウイルスの流行以降、利用者が接触するサドルやハンドル部分の清掃・消毒を強化する動きが広がりました。企業によっては定期的な巡回清掃を実施したり、ユーザーに衛生管理を呼びかけたりするなど、安全・安心に利用できる環境づくりに取り組んでいます。
3. AIやビッグデータによる効率的な配置
最新技術の導入も進んでいます。利用者の動きをビッグデータとして分析し、AIを活用して自転車を最適な場所に再配置する仕組みが整備されつつあります。これにより「乗りたいときに近くに自転車がない」といった不便が減り、サービスの利便性が向上しています。
このように、中国のレンタル自転車は単なる移動手段にとどまらず、テクノロジーや社会的ニーズに応じて進化を続けています。これからも都市のスマート化を象徴する存在として、さらに発展していくことでしょう。
【体験談&現在の自転車の仕様】
現在の自転車ですが、ブレーキやベルはもちろんのこと、ソーラーパネルから電気を供給するライトがついています。省によって違いがありますが、初めてでも乗りやすい仕様となっています。



観光客向けのアドバイス
中国のレンタル自転車は観光客にとっても非常に便利な移動手段ですが、初めて利用する場合にはいくつか注意しておきたいポイントがあります。
1. 支払い手段とデポジットに注意
多くのシェアバイクは Alipay や WeChat Pay といった中国のモバイル決済と連携しており、利用には中国の銀行口座や電話番号が必要になるケースがあります。そのため、外国人旅行者にとっては登録がやや難しい場合があります。近年は、海外発行のクレジットカードに対応したアプリや、短期旅行者向けの簡易登録プランも増えてきていますので、事前に利用可能なサービスを調べておくと安心です。
また、一部のサービスでは デポジット(保証金) が必要になる場合があります。数十〜数百元を預ける仕組みですが、返金に時間がかかることもあるため、旅行者は事前に確認しておくとよいでしょう。


2. 初めて利用する時のコツと安全面
観光客が利用する場合、土地勘がない中で走行することになるため、安全には特に注意が必要です。
- 自転車専用レーンを走ること(多くの大都市では整備されています)
- 車道を走る際は車の流れに十分注意すること
- 夜間はライトを確認し、できるだけ明るい道を選ぶこと
- 返却時には指定エリアや迷惑にならない場所に駐輪すること
これらを意識するだけで、快適かつ安全に自転車移動を楽しむことができます。

観光でのシェアバイク利用は、徒歩では見落としがちな路地や風景に出会えるチャンスでもあります。上手に活用すれば、旅の楽しみがぐっと広がるでしょう。
まとめ
いまや、中国の街並みを語るうえでレンタル自転車の存在は欠かせません。駅前やオフィス街、観光地に並ぶカラフルな自転車は、都市の生活に深く根付いた風景の一部となっています。
その普及は、単なる交通手段の提供にとどまらず、都市のスマートシティ化を象徴する取り組みの一つとも言えるでしょう。モバイル決済やAIを活用した運営管理など、中国ならではの技術的背景も、このサービスを支える重要な要素です。
また、日本や他国のシェアサイクルと比較してみると、中国の規模の大きさやスピード感が際立ちます。日本でも都心部を中心にシェアサイクルは広がりつつありますが、中国のように都市全体を覆うほど普及している国は珍しく、国ごとの社会背景や文化の違いを考えるきっかけにもなります。
旅行者にとっても、レンタル自転車は街を身近に感じられる魅力的な移動手段です。上手に活用すれば、タクシーや徒歩では味わえない新しい発見があるでしょう。
中国のレンタル自転車は、まさに都市の暮らしと観光の両方を支える「未来型の公共交通インフラ」として、これからも進化し続けていくに違いありません。