中国の高速鉄道(高鉄)は、その広大な国土をスピーディーに移動できる、非常に便利な交通手段です。主要都市を結ぶ鉄道網は世界トップクラスの規模を誇り、年間数十億人が利用する国民的インフラとなっています。特に北京~上海、広州~深圳、成都~西安などの大都市間では、飛行機に匹敵するほどの人気を集めています。
そんな中国の高速鉄道には、飛行機でいうところの「エコノミー」「ビジネス」「ファースト」に相当する座席クラスが存在します。その中でも最上級に位置づけられているのが「ビジネスクラス(中国語で“商务座”)」です。
一等座や二等座に比べて価格はかなり高めですが、まるで飛行機のファーストクラスのような快適な座席や静かな空間、ちょっとしたサービスなど、特別感あふれる乗車体験が味わえます。
「中国のビジネスクラスって、旅行者でも乗れるの?」「本当に値段に見合う価値があるの?」そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、実際に中国高速鉄道のビジネスクラスに乗ってみた体験をもとに、座席の様子やサービス内容、予約方法や料金まで、詳しくご紹介します。快適な移動を求める方や、ちょっと贅沢な鉄道旅をしてみたい方は必見です!
前回は高鉄の予約の仕方や乗り方についてまとめたよね!
今回はその第2弾!フォロワーさんから質問がいくつかあったビジネスクラスってどんなものなのかまとめてみたよ!
中国高速鉄道の座席クラス比較
中国の高速鉄道には、主に3つの座席クラスがあります。日本の新幹線における「普通車」「グリーン車」「グランクラス」にも近いイメージですが、それぞれの特徴や座席配列には独自の違いがあります。
以下の表に、各クラスの特徴をまとめました。
クラス名 | 特徴 | 座席配列 | 主な対象者 |
二等座 | 一般的な普通席で最も利用者が多い | 3-2 | 多くの旅行者や通勤客 |
一等座 | ゆったりしたスペースと静かな環境 | 2-2 | 快適さを求める人向け |
商務座(ビジネスクラス) | リクライニング可の豪華シート、最高レベルの快適さ | 1-2 | 出張者・高所得層・特別な旅行 |
各クラスのポイントを簡単に紹介
二等座(二等车)
最も一般的な座席クラスで、価格もリーズナブル。座席の横幅はやや狭めで、混雑時には少し窮屈に感じることもありますが、移動手段としては十分。地元の人や旅行者が最も多く利用しています。
一等座(一等车)
二等座よりも1列の座席数が少なく、ゆったりとしたシートが魅力。座席に電源がついていることも多く、静かで快適な空間を好む人におすすめです。長距離移動でも疲れにくいです。
商務座(商务座)
中国高鉄の中で最もグレードの高い座席クラス。革張りの広々としたシートはフルフラットにもでき、まるで飛行機のビジネスクラスやファーストクラスのよう。軽食やドリンクのサービスもあり、上質な移動体験が味わえます。下の写真が座席です。

【体験談&席のクラスから違うトイレの様式】
一般的に高速鉄道では席によってトイレの様式が異なります。一等席や二等席の列車では小便器でなければしゃがんでする様式(和式)になっています。列車が動くこともあり、少し利用しずらさがあるかもしれません。ただ、商務座(ビジネスクラス)になると洋式になります。トイレも広いので赤ちゃんのオムツも変えやすいです。

ビジネスクラスの座席紹介
中国高速鉄道の最上級クラス「商務座(ビジネスクラス)」の最大の魅力は、なんといってもその座席の快適さです。まるで飛行機のファーストクラスに乗っているような感覚が味わえ、移動中とは思えないほどリラックスできます。
◎ 座席の広さとリクライニング機能
ビジネスクラスの座席は、1列にわずか2席(1-2配列)というゆとりのある設計。座席幅は約55〜60cmと広く、肘掛けも十分なスペースがあります。
さらに、座席はフルリクライニング可能で、背もたれを倒すとベッドのように完全に水平になります。長距離移動でも腰や背中への負担が少なく、しっかりと休むことができます。

◎ 本革シート&多機能装備
シートには高級感のある本革素材が使用されており、座り心地はとてもソフト。多くの車両では以下の機能が装備されています:
- 足置き(フットレスト付きで脚も伸ばせる)
- 電源コンセント&USBポート(スマホ・PCの充電も安心)
静かで落ち着いた空間に包まれ、仕事や読書、仮眠に最適な環境が整っています。

◎ 個別モニターの有無
一部の新しい車両では、各席に個別のエンタメモニターが設置されている場合もあります(ただし車両や路線によるため、必ずしも全てにあるとは限りません)。
中国語メインのコンテンツが中心ですが、映画やドラマなどを楽しみながら快適に過ごすことができます。
【体験談&ありがたい座席周り数々のアイテム】
商務座(ビジネスクラス)は席のリクライニングやコンセントなどの設備が充実しているだけでなく、席周りのアメニティも充実しています。例えばスリッパ。長く電車に乗っている人にはとてもありがたいアメニティです。電車の中は基本的には靴で移動しなければいけないので、少しの間だけでもスリッパで電車内を移動できるのはありがたいです。私もビジネスクラスを利用したときは必ず使います。


サービス内容
ビジネスクラス(商務座)では、座席の快適さだけでなく、上質なサービスも大きな魅力のひとつです。飛行機のビジネスクラスに近い「ちょっと特別な体験」が、鉄道で味わえるのは中国ならではです。
◎ ウェルカムドリンクの提供
乗車するとすぐに、スタッフがお茶やミネラルウォーターなどのウェルカムドリンクを配ってくれます。お茶は中国らしい茉莉花茶(ジャスミンティー)や緑茶が多く、ほっと一息つけるサービスです。
紙パックやボトルで提供されるため、衛生的で持ち帰りも可能です。

◎ 軽食・おしぼりのサービス(路線や時間帯による)
主要都市間の長距離路線(例:北京〜上海など)では、以下のようなサービスがあることもあります:
- 軽食ボックス(サンドイッチ、お菓子、フルーツなど)
- 温かいおしぼりの提供
- 食後のコーヒーやお茶の追加サービス
ただし、路線や時間帯、列車のグレードによって内容は異なるため、期待しすぎず「ちょっとしたおもてなし」くらいに考えておくとよいでしょう。

◎ 静かで落ち着いた専用車両
ビジネスクラスは1編成に1〜2車両しかなく、乗客も非常に少なめ。騒がしさとは無縁の落ち着いた空間で、ゆったりとした時間が流れています。
電話や大声での会話も少なく、静かに過ごしたい人には理想的な環境です。
◎ 専用乗降口・VIPラウンジ(駅による)
一部の大規模駅(例:北京南駅、上海虹橋駅、広州南駅など)では、商務座・一等座専用の改札口や待合室が用意されていることがあります。
さらに、以下のようなVIPラウンジを利用できるケースも:
- 快適なソファと無料の飲み物
- 静かな待機スペース
- 早めの搭乗案内
ただし、ラウンジの有無や利用条件は駅によって異なるため、事前に調べておくと安心です(Trip.comや百度地図などで確認可能)。
【体験談&ちょっとうれしいサービス】
商務座(ビジネスクラス)を利用したときにありがたいのがフリードリンクのサービス。基本的に一等席や二等席にはドリンクのサービスはついていませんが、商務座(ビジネスクラス)になると、ドリンクが付いてきます。荷物が多かったり、家族で移動すると飲み物の問題が出てくるので気軽にもらえるのはありがたいです。冷えてるのもあるので暑い時には最高です。


ビジネスクラスの料金
ビジネスクラス(商務座)は中国高速鉄道における最上位クラスのため、当然ながら料金は最も高く設定されています。しかし、その快適さやサービスの内容を考えると、「価格に見合う価値がある」と感じる人も多いのが特徴です。
◎ 路線別の価格例
以下は代表的な路線におけるビジネスクラスの料金の目安です(※時期・列車の種類により多少前後します)。
路線 | 距離 | ビジネスクラス料金(片道) |
北京南駅 ~ 上海虹橋駅 | 約1,300km | 約 1,800〜2,400元(約36,000~48,000円) |
広州南駅 ~ 深圳北駅 | 約100km | 約 200〜250元(約4,000~5,000円) |
成都東駅 ~ 西安北駅 | 約700km | 約 800〜850元(約16,000~17,000円) |
◎ 他クラスとの比較(例:北京~上海)
クラス | 料金(目安) |
二等座 | 約 550〜700元(約11,000〜14,000円) |
一等座 | 約 900〜1,100元(約18,000〜22,000円) |
商務座 | 約 1,800〜2,400元(約36,000〜48,000円) |
やはりビジネスクラスの料金は、二等座の約3倍以上となっていますが、その分の座席スペースや快適さ、サービスの質は大きく異なります。
◎ 飛行機のビジネスクラスと比べてリーズナブル
中国国内線のビジネスクラス航空券は、北京〜上海間で2,000〜8,000元(約4〜16万円)程度が一般的。そう考えると、高鉄のビジネスクラスは価格を抑えて快適さを味わえる、コストパフォーマンスの高い選択肢とも言えます。
特に以下のような場合には、飛行機より高鉄ビジネスクラスを選ぶ価値があります:
- 駅から駅へのアクセスが便利な都市間移動
- フライトよりも時間の融通が効くスケジュール
- 荷物検査や搭乗待ちが少なく、ストレスが少ない
ビジネスクラスの予約方法
中国の高速鉄道のビジネスクラス(商務座)は、観光客でも簡単に予約・利用が可能です。ただし、いくつか注意点もあるため、スムーズに手配するためのポイントを紹介します。
◎ 主な予約方法はこの2つ!
▸ ① 12306公式アプリ・ウェブサイト(中国語・英語対応)
中国鉄道の公式チケット予約サイトで、最も正確で手数料もかかりません。ただし、中国の携帯番号が必要なことや、アプリの登録や操作が少し複雑なため、初心者にはややハードルが高いです。
詳しい予約の仕方に関しては下の記事をご覧ください。


▸ ② Trip.com(日本語対応・外国人向けに最適)
中国系の大手旅行予約サイトで、日本語や英語でも利用可能。アプリやサイトで列車を検索・予約でき、外国人のパスポート番号でも問題なく予約できます。
- 日本円での支払いも可能
- eチケットが発行され、パスポート提示で乗車OK
- 手数料が数百円かかるが、その分手軽で安心
👉 初めての中国旅行や短期滞在なら、Trip.comを使うのが一番おすすめです!

◎ 早めの予約がおすすめな理由
ビジネスクラスの座席数は非常に少なく、1両に5~9席程度しかありません。また、中国のビジネスマンや富裕層にも人気が高いため、特に以下の条件では早期完売することが多いです。
- 祝日・連休・旧正月などの繁忙期
- 朝・夕方などの人気時間帯
- 北京〜上海・広州〜深圳などの大都市間の路線
👉 旅行の予定が決まったら、1〜2週間前の予約が理想的です!
◎ パスポート番号入力に注意!
予約時にはパスポート番号の正確な入力が必須です。特に以下の点に注意しましょう:
- 「O(オー)」と「0(ゼロ)」の打ち間違い
- 名字・名前の順番(Trip.comでは自動で分けてくれる)
- パスポートの有効期限が旅行中に切れていないか
チケットの発券や改札時にトラブルになることもあるため、入力ミスは致命的です。しっかり確認してから予約を確定しましょう。
ビジネスクラスはこんな人におすすめ!
中国高速鉄道のビジネスクラス(商務座)は、通常の移動手段というよりも、「快適さ」や「特別感」を重視する人にぴったりの選択肢です。どんな人におすすめか、具体的なシーンを交えて紹介します。

◎ 長距離移動で疲れたくない人に
北京〜上海や成都〜西安など、移動に5〜6時間かかる長距離路線では、座席の快適さが移動後の体調を左右することもあります。フルフラットで横になれるビジネスクラスなら、ぐっすり眠って移動中に疲れをリセットすることが可能。観光の初日や出張先で元気に動きたい人に最適です。
◎ 高齢者連れの家族旅行にも安心
足腰に不安がある高齢の家族がいる場合、広いスペースや落ち着いた環境は大きなメリット。騒がしくなく、乗り降りも比較的スムーズなため、安心して移動できます。おしぼりやドリンクのサービスも、ちょっとした気配りとして喜ばれるポイントです。
◎ 記念旅行や、ちょっと贅沢したいとき
結婚記念日や卒業旅行など、特別な旅行にちょっと贅沢を加えたいときにもおすすめ。飛行機のビジネスクラスよりもリーズナブルにラグジュアリーな体験ができるので、思い出づくりにぴったりです。
◎ 出張で快適さを求めるビジネスパーソン
パソコンでの作業や、次の会議への準備、仮眠での体力回復など、出張中の時間を有効に使いたい人にもビジネスクラスは強い味方です。静かな空間で集中でき、電源やUSBポートも完備されているため、仕事効率もアップします。
【体験談&ちょっとしたありがたさ】
私がいつも商務座(ビジネスクラス)に乗ったときにありがたいと思うことが、予約した人でなければその席には座れないということです。中国では一等席と二等席で席が空いている場合、席を予約していない人が勝手に座ってしまうことがあります。席を予約している人にも関わらず強引に座り、トラブルになることもしばしばあります。ただ商務座(ビジネスクラス)はそのようなことがなく、保安員のような人が近くに座ってくれているので、仮に予約していない人が座っても注意をしてくれます。家族連れの小さなお子さんがいるご家庭は安心して利用することが出来ます。
注意点・知っておくと安心なポイント
中国高速鉄道のビジネスクラスは非常に快適ですが、日本とは異なる点や注意すべきルールもいくつかあります。事前に知っておけば、トラブルを避けてスムーズに乗車できます。
◎ 日本語対応は基本的にない
駅や車内のアナウンス、案内表示は基本的に中国語と英語のみです。チケット予約サイトも一部を除いて中国語が中心なので、旅行初心者には少し不安があるかもしれません。
📌 対策:
- Trip.comなど外国人向けの日本語対応サイトを利用する
- 駅名や目的地は中国語で控えておく(スマホスクショも◎)
- オフラインでも使える翻訳アプリを準備しておく
◎ チケットのキャンセル・変更には制限がある
中国の鉄道チケットは、購入後のキャンセル・変更に手数料が発生します。また、発車時刻が近づくにつれて払い戻し額は減額されます。
さらに、一度発券(乗車券を紙で受け取る)した後の変更は非常に面倒なので、予約の際はしっかりと時間・日程を確認しておくことが大切です。
◎ 乗り遅れた場合は、基本的に返金不可
飛行機と異なり、中国の高鉄は定刻ぴったりに発車し、数分の遅れでも乗車できません。改札の締め切りは出発の5~10分前が一般的です。
📌 対策:
- 駅には最低でも30〜40分前に到着
- 混雑や保安検査を見越して余裕をもった移動を
- 乗り遅れた場合、次の列車に振替不可・返金不可のことが多いため要注意
◎ 駅によってラウンジやサービスに差がある
ビジネスクラス利用者向けのVIPラウンジや専用改札口などは、すべての駅にあるわけではありません。大都市の主要駅(北京南・上海虹橋・広州南など)では充実していますが、地方駅では利用できないこともあります。
📌 事前にチェックしておきたいポイント:
- 利用する駅の設備(Trip.comや百度地図が便利)
- ラウンジの場所・利用条件(駅の案内図に掲載されている場合あり)

【体験談&電車に乗る前に知っておきたいポイント】
高速鉄道に乗る前に知っておきたいことの一つに食堂があります。「朝早くの時間でご飯が食べられなかった!」「搭乗時刻がビミョーな時間でお昼ご飯が食べられなかった!」という人はぜひ高速鉄道の食堂に行ってみて下さい。ここではお菓子からお弁当、飲み物まで色々なものが販売されています。私もよく小腹が空いたときやコーヒーを飲みたいときは利用しています。



まとめ
中国の高速鉄道「ビジネスクラス」は、まさに飛行機のビジネスクラスにも匹敵する快適さを誇る、最高ランクの座席です。広々としたシート、上質なサービス、静かな空間での移動は、移動時間そのものを「特別な体験」へと変えてくれます。
価格は通常の座席に比べて高めではありますが、それに見合う贅沢でストレスの少ない移動体験が得られるのは大きな魅力。長距離の移動や大切な旅行、出張時など、シーンに応じて選ぶ価値は十分にあります。
中国旅行をさらに充実させたい方、いつもと違う鉄道旅をしてみたい方には、ぜひ一度ビジネスクラスの利用をおすすめします。「高くても価値アリ!」と思えること間違いなしです。